ODA現場での日本人の決意 
2010.02.08 Mon 15:01
平成22年2月8日
〜ODA現場で活躍する日本人の言葉〜
パプアニューギニアのブーゲンビル島に日本の無償支援で大小15の橋が架けられようとしている。今回、現地の安全調査依頼があったので、2週間と短い時間ではあったが、小職なりの現地への思いがあったので、喜んで現地へ飛んだ。
パプアニューギニアの首都ポートモレスビーからブカ島を経由し、ブーゲンビル島へと入る。噂どおりの高温多湿である。ちょっと歩くだけで汗が流れ落ちる。
電気、プロパンガス、水道の生活インフラは、何とか整備されてはいるが、頻繁に停電するし、食材も首都からの搬送が少ないのか、肉類の入手が難しく、もっぱら島で獲る魚を食べなければならない。しかし、海は自然のまま残されているから、限りなく美しい。
この島に架かる橋が、度重なる洪水で崩落しているため、日本の無償援助で橋が架けられる。工期は、約2年半だ。

同島では、1988年から2001年までの間、分離独立を求める「ブーゲンビル革命軍(BRA)」と政府軍との間で戦闘が繰り返されたため、現在でも南部のアラワ以南は、日本外務省によれば、立ち入らないでほしいエリアとなっている。
今回は、ブカからアラワ以南のキエタ港にも入って安全調査を行った。その結果、一定の安全対策を講じておけば、安全に支援業務を継続できるという結論に達した。島民は紛争に疲れており、平和的な生活を求めている。多くの島民が仕事に就けないため、昼間から木陰で屯する若者が多く、バナナなどの果実から作る地酒を飲み酩酊している。殆どの島民は、ジャングルの中を歩く時に必要だからブッシュナイフを携行している。こうした点は、十分注意しなければならない。
首都をはじめ、同島でも、今回の日本の無償支援に対する関心と感謝の声は、極めて大きい。対日感情は良好である。

そして、良好な対日感情の要因のひとつに、先の戦争があるようだ。この島には、1942年から45年まで日本陸海軍が進駐し、米豪軍と激戦を展開した。戦史によると、陸軍約4万人、海軍約2万人の計6万人余が乏しい補給の中で戦った。当時、ガダルカナル島が「餓島(がとう)」と呼ばれ、ブーゲンビル島は「墓島(ぼとう)」と呼ばれていた。こうした史実を肌で感じたいと常々思っていたので、どうしても訪問したい地域であった。
これまで、多くの日本人の方々が慰霊のために同島を訪問されており、いたる所に慰霊碑等が建てられていたが、日々の手入れをする人もいないのか、それらは草木の中に埋もれてしまっているところが多かった。ブーゲンビル島南部のアラワからキエタ港に向かう道路脇にそのひとつがある。ゼロ戦、戦車、野砲が運ばれたのであうか並ぶように展示され、慰霊碑らしきものが建てられていた。慰霊碑の文字は消え去り、草木に覆われていた。
今回の日本の無償援助は、この島の橋を完成させることだが、その業務に携わるわずか3〜4人の日本人の方々が、次のようなことをしようと決意している。
「橋梁工事が完了し、引渡し式が終わったら、せめてこの場所の草刈りをして、できれば塀で囲み、慰霊碑をきれいにして、島民のみなさんがその後も時々手入れをしてくれるような場所にして帰国したい」
私は、是非その作業に参加させていただきたいとお願いした。他にも同様の場所は多数あるし、今後、同国に色々な形の日本の支援が行われる都度、できる限りそうしたことをしていこうという思いで同国を後にした。聞くところによれば、先の戦争で亡くなられた方々の遺骨収集作業等に対する日本国の支援は、先進国としては脆弱との由。先の戦争の総括をすることもなく、戦争反対を声高に主張することは結構だが、せめて亡くなられた方々の地に足を運び、慰霊をすると同時に、年老いた島民から若い島民へと現地で語り継がれている当時の日本人の方々の断片的な話に耳を傾けては如何か。「礼儀正しく、タフな方々だった。学校を建設し、農耕や物づくりを教えてくれた」と皆が口をそろえる。決してお世辞ではない。私には、次回の訪問が待ち遠しいし、ODA終了後の仕事が残っているのである。

民主主義の難しさ 
2010.01.18 Mon 16:16
平成22年1月18日
〜「民主主義」の難しさなのか〜
警察官として勤務した経験のある人なら、「マルクス・レーニン主義(ML主義)」という言葉はどこかで聞いたことがあるはずである。小職も熟知しているとは言わないが、それなりに学習した。
ML主義の理論的基礎の中には、いくつかの柱があり、階級国家観とか、フロレタリアート独裁(プロ独裁)なんていうのがある。
一旦権力を握った者は、やすやすとその権力を譲り渡すわけはないから、暴力革命によってそれを達成し、達成できた暁には労働者(プロレタリアート)による独裁を維持しなければならないという理論だそうな。1960年、70年代は、多くの学生、労働者がこの理論に賛同して大規模なデモが繰り返されたが、今では、遠い遠い昔の出来事のように時々メディアが報じる程度だ。

政治や共産主義、社会主義のことを本ブログで述べるつもりはないが、最近の現政権党に関する報道の中に、まるで「全体主義」のようだという内容が目立っている。
現在の最大与党は、民主的に実施された総選挙で国民が選んだ政党だから、ML主義にいう暴力革命によって政権を奪取したわけではない。しかし、一旦選挙によって得た権力者の権力は、ML主義でもプロ独裁して維持しようというのだから、そうやすやすと手放すはずはない。次の総選挙で主権者が変えればいいじゃないかとは言うものの、少なくとも一定期間は簡単には変えられないものである。昨年の総選挙で政権が変わった際、メディアの一部が「国民は最低4年間の覚悟は持たなければならない」と報じた。小職は現政権には投じなかったが、現在その覚悟で見守っている。

現政権の中には、かつてML主義を標榜して活動した方々も少なからず存在しているようだし、そうした方々がかつて主張していたように、一旦権力を手中にすれば、例え恥知らずなことをしても、とてもやすやすと権力を譲り渡すはずはないはずだ。現政権の中には、「8年は政権を維持できる」と豪語する人もいるようで、4年後、8年後の日本国が相当傷つきながらも立派に生き続けていることを今は願うばかりである。
ある国の首相が「民主主義よりも良い方法が現在のところ見つからないのでわが国でも民主主義を採っている」と述べたが、まさにそのとおりである。

「覚悟」の必要性 
2010.01.02 Sat 16:36
平成22年1月2日
〜「覚悟」を抱いて生き抜くことの必要性〜
昨年末、米の飛行機がまた狙われた。機内で爆発物が爆発していれば、飛行機の機体側壁を破壊することが可能な威力であったという。オバマ大統領が2度もコメントするのだから、色々なミスがあったのだろう。近年、イラク、アフガニスタン、パキスタン等では、テロが沈静化するどころか、激しさを増している。こうした国際テロ情勢は、残念ながら今年も続きそうだし、しばらくは続くだろう。年間約1,600万人の日本人が海外へ出ているから、こうしたテロの被害を蒙る可能性は決して低くない。

小職は、テロ対策のための航空保安について途上国に技術提供をした経験があるので、航空保安を徹底することの難しさを知っている。職務上知りえた秘密をここで暴露するわけにはいかないが、日本のそれも決して万全なものではない。ましてや途上国のそれとなれば、想像に難くない。
そのため、現時点では、航空セキュリティは、「ほぼ万全である」というレベルで日々運行されているのだ。あくまで「ほぼ」であって、完璧ではないということだ。
これを完全にするためには、「情報の瞬時共有」「保秘の徹底」「人の育成・訓練」等が必要なのだが、これを全世界で完全にすることは大変困難で、不可能に近いかもしれない。新しいセキュリティ機器を導入しただけでは当然のことながら不十分なのである。何故なら、その機器を使用して最後に見極めるのは「人」だからだ。だからと言って、我々はこうした悪質巧妙なテロに対して半ば諦め、屈するわけにはいかない。

最近の日本人は、「ほぼ万全」を嫌い、完璧な「安心・安全」を求める傾向がある。いつ頃から日本人がそうなったのかは分からないが、そんな完璧などあり得ないことをそろそろ各人が自覚し、それなりの「覚悟」を持ってはどうか。今後も日本は、国家としてさらに成長するため、国際貢献、ODA、海外ビジネス等を積極的に展開していかなければならないはずだ。
そうした「覚悟」を抱いて、日々努力精進すれば、目先のことなどには一喜一憂しないだろうし、自ずと「物事の真理」が見えてくるものだ。
小職は今年もこの「覚悟」を胸に秘め、海外で活躍する日本人の安全対策に可能な限りの「万全」を目指しながら、邁進していく所存である。

危機管理に楽観は禁物 
2009.11.25 Wed 17:42
平成21年11月25日
〜楽観せずに用心すること〜
11月15日にイエメンで誘拐された「国際協力機構(JICA)」の日本人男性が無事解放された。まずは何よりだ。日本の各メディアは、「良い結果となった」「被害者の強い志に感心する」等々の報道ぶりだが、そうした世界各地での民生支援に従事する邦人の安全対策措置に具体的に言及する内容は相変わらず乏しい。
この種の誘拐事件では、被害者の安全確保を第一とするため、報道は厳しく規制される。今回も事件を認知した後に、現地の日本大使館、JICA事務所をはじめ、東京の外務省、JICA本部等は、情報の収集・分析を行うと共に、犯人側との交渉プロセスの推移に日本政府として加わり、一定の主張、要望等を行ったものと思われる。日本側から誰が現地へ赴いたのかは知る由もないが、警察庁の国際テロ対策課、警視庁の組織犯罪対策第二課等もそれなりに関与したはずだ。
私が得た情報によると、現地のODA無償協力プロジェクトは、完成も間近かであり、これまで同様に継続されるという。国際協力、国際貢献は、こうした事件があったからと言って、すぐに中止するようではダメで、その都度、安全対策を講じつつ乗り越えていかなければならない。
しかし、今回のイエメンでの事件では、「過去の同種事例の多くが短時間で解放されている」「被害者との連絡がとれている」「イエメン当局や各部族長との連携が比較的スムーズだ」「軟禁されている場所がほぼ特定できている」等々の理由があったのかどうかは不明だが、イエメンでのこの種事案は、あまりシリアスな結果とならないので深刻に諸対策を講じなくともよいというような雰囲気が現場から感じられる。ここは楽観することなく、用心を怠らないことだ。
治安状態が悪い国・地域で民生支援を行う場合は、現地で稼働する邦人の安全対策措置を講じることが何よりも肝要である。そうした態勢を具体的に整えるため、外務省、JICAは、こうした事件発生の都度、検証、検討して予算を確保し、具体策を講じなければならない。本来であれば、日本の警察、自衛隊が自国の民生支援者を防護すれば一番心強いのだが、現行法ではそれもできないという情けない状態が何年も続いている。
昨今の事業仕分けで、外務省やJICAの無駄遣いが一部指摘されている。勿論、無駄は省く必要があるが、逆に民生支援を主張する現与党に民生支援の安全対策予算を教育、訓練、現地派遣等の各分野で大いに請求されてはどうか。事業仕分けで活躍しているかつてのキャンペーンガール議員も、まさか「一番に守る必要があるのですか」とは言えないと思うのだが。

人を育てることの楽しさ 
2009.10.27 Tue 17:53
平成21年10月27日
〜人を育てるということの楽しさ〜
プロ野球楽天の野村監督の記事が新聞を飾った。もう1年監督を務めたかったようだが、その願いはフロントには通じなかったようだ。
野村監督は監督の役割を「見つけ、育て、活かす」と定義しているという。また、「石の上にも3年、風雪5年」とその定義を実践するためには時間がかかるとも言う。
そして、「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すを上とす」という中国のことわざが好きで合わせて実践してきたそうだ。同監督のこうした趣旨を理解して、現在活躍する選手やコーチが大勢いる。両チームの選手に胴上げされたのはその証なのだろう。
人を教育して育てることは、まさに野村監督の言うとおりだと小職は共感している。
小職は現在、企業の若手社員の教育をコンサルタントとして担当している。社員を育成するということは、企業の危機管理にも繋がるから重要な仕事だと自負している。
この仕事を初めて約2年が経過したが、最初のうちは、多くの社員が「何だこのオヤジは」「警察OBで何ができるのか」という目で、渋々小職の厳しい講義やトレーニングに参加していた。当然、小職は予想していることなので、淡々とトレーニングを重ねる。そして、野村監督同様とは言わないが、数百人の中から、人を見つけるのである。
小職はこの第一段階の「見つける」が最も大事な部分だと思っている。沢山見つけることができれば、強いチームになることの半分以上は成功したようなものだと思っている。何故なら、これまで長年埋もれてきていた人の中から「見えない輝きのようなものを内包している人」を見つけるのだから、これは中々大変だ。数人見つけることができて、育て始めれば、それを見ている他の人々が、自ずと埋もれた人の中から少し顔を見せるので、それを見つけるのは徐々に簡単になってくる。あとは、時間はかかるが、次々に育てていけば良い。
若い人たちが会社という組織の中で、育ち、活躍してくれる姿を見ることは、実に微笑ましく、楽しい。最近は「あなたたちに元気をもらっている」と、逆に小職が感謝している。最近は、不景気、閉塞感という言葉が多用される日本だが、自分なりに一生懸命頑張ろうとする若者たちを何とか見つけて出して、育てることが、いくばくかの人生の先輩としての小職の仕事だと肝に銘じている。そして、一番弟子に抜かれる日を今から楽しみにしている。

国家の意思が示される国際捜査 
2009.10.02 Fri 18:12
平成21年10月2日
〜バリ島での邦人女性殺害〜
イスラム教国のインドネシアの中で、バリ島はヒンドゥー教徒が多数を占める。
東南アジアのリゾートの島として日本人(特に若い女性)には人気の島である。
9月28日、その島で旅行中の邦人女性(33歳)の遺体が発見された。遺体は半裸状態で、乱暴された形跡もあると報じられている。現地警察は、殺人事件として捜査を開始した。
事件の真相は、現地警察の捜査を待たなければならないが、小職は日本の捜査当局がどのように対応するのか注目している。
東南アジア諸国には、バリ島同様のリゾートが多い。タイのプーケット島、マレーシアのペナン島、フィリピンのセブ島などが一般的には知られている。小職がタイの日本大使館で邦人保護担当の領事を務めていた際、同様の殺人事件、強姦事件等が発生し、その都度取り扱った。
ただ、今回のケースは、警察官を名乗る現地人男性が、被害者の宿泊先を訪問して連れ出し、殺害している模様だ。随分と手の込んだ犯行である。偽警察官による強盗、スリ等は、世界各地で見られるが、バリ島では珍しいケースだ。
そこまで偽装して犯行を行う必要性があったのだろうとつい推測してしまう。今回の偽警察官は、宿泊先の従業員に「薬物関連の捜査」と言ってきたそうだが、被害者の女性が薬物に何らかの形で関与していたのか、或いは、薬物に関する金銭のトラブルなのか、日本人で関与している者はいないのか等々と、バリ島では珍しい犯行手口だけに推理してしまう。被害者の女性と一緒に旅行していた女性も乱暴されたものの、殺害には至っていないという。これら報じられている情報からだけでも、単純で衝動的な殺人事件とは思えない。被害者のためにも、何とか迅速に犯人を捕まえてもらいたいと思う。
ところで、この種事件が発生すると、米英の捜査当局は、極めて立ち上がりが早い。
下手をすると同日、若しくは翌日には本国からの捜査員が現地入りして、インドネシア捜査当局をまるで自分たちの部下のように指揮下において捜査を展開する。タイで領事業務を行っていた際には、そうした光景を何度となく目にした。事件が発生した国の主権、捜査権行使の可否等はまるで眼中にないかのようだ。自国民保護のためにただひたすら自国の権利を主張する。言い換えれば、強い外交を行うのである。こうしたやり方が批判されることも多いが、時として必要な行動だ。日本警察は果たして現地へ捜査員を派遣するのだろうか。バリ島には警察から出向して勤務する領事がいるはずだ。さらに、インドネシアには警察から10人以上の警察官が出向し、様々な業務に従事していると言われている。インドネシア国家警察の捜査技術、科学捜査技術等は、まだまだ低い。だから、日本から多くの警察官が出向しているのだが、自国民保護のために時として積極的な捜査を展開することができるようにならなければ、世界の警察、情報機関から尊敬されることにはならないだろう。英米にできて、日本にできないことはないはずと思うのだが。

こんな警察官が出てくる時代 
2009.09.03 Thu 17:55
平成21年9月3日
〜警察官の中にも現われた危険な現象〜
兵庫県警の女性巡査長が、インターネットの日記に上司や職務への不平・不満を書き込み、服務規程に違反したとして懲戒処分を受け、その後依願退職した内容が報じられた。
2005年10月に採用されたそうだから、おそらく20代半ばであろう。実務経験は4年に満たないはずだ。県警の事情聴取に対して同巡査長は「ストレスを発散していた」と説明したそうだ。些細な出来事のようだが、警察のOBとしては、警察組織がゆっくりと弱体化していくようで心配だ。報道によれば、書き込まれた内容は次のとおりだ。

交通死亡事故の処理をした感想として、「大事故でもないのに、4時間も立番しないといけないのか分からない」
「周りが言うほど正義感にあふれた仕事ではない」
「ストレスに見合うだけの給料はない」
上司について「理不尽すぎる」「どうしようもないやつに思えてきた」「ばかばっかり」

この内容を見ると、単純に同人が、警察官として不適格だなと感じるが、インターネットの会員制交流サイト「ミクシィ」に掲載して、ストレス発散するという手法が、秋葉原の事件をはじめとするネットへの不満の発信から、「誰でもよかった」という悲惨な結果へとつながった同種の事件と一部重なって見えるのである。
人命が失われている交通死亡事故を小さな他人事の事故として見る一方、自分へのストレスは軽微であっても極めて大きいと感じる。自己中心的な甘え以外の何物でもない。
警察官を拝命する際は、自衛官もそうだが、宣誓を行い署名する。国や国民を守るためには、命をも賭けるという覚悟だ。バブル時期には、警察は「3K職場」と言われた(危険、汚い、給料が安い)。それでも、宣誓した内容を黙々と実行する多くの警察官に国民の殆どは高い信頼を寄せている。警察官の不祥事が発生する度に社会的に強く叱責されるのは、高い信頼が寄せられているからこそだ。私が知る諸外国の警察で、日本の警察ほどその国の国民に信頼されているのを見たことがない。私も現役当時は、同巡査長が書き込んだ内容と全く同じことを考えたことは何度もある。おそらく、現在、多くの警察官が似たようなことを感じているのも事実だ。しかし、卑怯な手法でストレス発散はしない。多くが職責の自覚のもと自制しているからだ。
警察組織内部のこうした「兆」は、早い段階から適切に対処することが何より肝要だが、近年の警察学校での集団生活の軽視やプライベート重視の指導・教養が、少なからず影響しているように思えてならない。こうした現象の背景には、教育、家庭の躾、周囲の環境等がそれぞれ指摘されている。だからと言って諦めることなく、地道な指導・教養を繰り返し、志を抱いて警察官を拝命する若い警察官に、上司、先輩は金銭で表すことのできない、短期間では体感できない、崇高な職責や誇りを伝授してもらいたい。警察OBとして密かに応援しているし、国民の多くも期待しているのだから。



日本を背負うという意識 
2009.07.29 Wed 16:25
平成21年7月29日
〜日本人の活躍〜
以前、「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で日本が優勝した際に感動したことをブログに書いたが、7月26日に女子プロゴルファーの宮里藍が米女子ゴルフツアーで初優勝したニュースに驚きと同時に同様の感動を覚えた。
何故驚いたかというと、小柄な体格で飛距離が必要な米女子ツアーで勝つことは極めて困難であるとの専門家の見方が多かったからだ。小職は日本で勝ち続けていた宮里プロだから、米女子ゴルフツアーでも1〜2年のうちに1勝すると期待していた。ところが、あっという間に4年が経過していた。やはり専門家の見方が正しかったのかと思い始めていた矢先の優勝だった。
ゴルフは中々面白いスポーツだと思い、小職もゴルフ歴だけは約30年と長いが、さっぱり上手くならない。本気で上手くなろうという気がないから当然である。ゴルフに関する本も結構読んだ。極めてメンタルなスポーツである。宮里プロが優勝するほんの少し前に開催された男子メジャー大会のひとつである「全英オープン」でも還暦目前のトム・ワトソンのプレーに感動した。最後のプレーオフで力尽きたが、足腰が限界にきていた様子が画面から窺えた。それでも、かつてのチャンプは紳士的に黙々とプレーを続けた。「ゴルフは決して飛距離やパワーだけではないぞ」と訴えかけているようだった。だから、つい早朝までテレビの前で応援してしまった。日本で言えば、トム・ワトソンは団塊の世代である。まだまだ現役でやっていけるという気持ちが伝わってくるのである。
宮里プロは、今回の1勝を契機に貪欲に勝ち続けてほしい。1日でも長く、引退するまで頑張り続けてほしい。日本人が海外で苦労して努力し、栄冠を勝ち取る姿は日本人として大いなる誇りだ。日本男子プロの石川遼も宮里プロに負けないよう活躍してほしい。
昨今、野球、サッカー、ゴルフなどのスポーツ選手以外に日本人が海外で大いに活躍するニュースが少ないような気がする。
そういえば宮里プロも優勝後に日本国旗の「日の丸」を全身に纏っていた。本人が用意していたのか、それとも誰かが用意していたのか。自分は日本人であり、日本を代表するプロだという「意識」がそこにはある。そうでなければ、「日の丸」を纏ったりはしない。
この「意識」だけでも8月30日の投票日に臨む候補者には持っていてもらいたいものだが、テレビに出てくるそうした候補者方々からは、それが全く感じられないのは何故だろう。淋しい限りである。

繰り返される爆弾テロ 
2009.07.18 Sat 15:10
平成21年7月18日
〜ジャカルタでの爆弾テロ〜
イスラム教国であるインドネシアでは、2002年、03年、05年と外国人を狙ったと見られる爆弾テロが続発し、日本人も死亡している。小職は、わが国の技術協力の一環として、同国の主要空港でテロが発生することを想定した訓練を行うため、2006年から07年の約10か月間、スカルノ・ハッタ空港、デンパサール空港、スラバヤ空港、バタム空港の4空港でテロを想定した非常時訓練を実施した。インドネシアの日本でいうところの国土交通省、警察、軍、空港管理会社、航空会社等に対して、テロ関連情報の収集・分析、テロの手口分析と予想される事態に対するシナリオ作成、省庁間の情報の共有、危機管理センターの運用方法、リーダーシップの発揮、メディア対策等々の技術協力を実施した。
丁度こうした業務をJICAチームの副団長として実施していた06年暮れから07年にかけて、ジャカルタで爆弾テロが発生するのではないかと感じ、チームの方々や共に仕事をしていた現地スタッフに注意喚起した。何故なら、1年から2年周期で発生していた同国での爆弾テロがしばらく鳴りを潜めていたからである。
幸いこの時、小職の予想は外れた。軍出身のユドヨノ政権下の治安当局が「ジャマ・イスラミア(JI)」をはじめとするイスラム過激派をある程度押さえこめているからだろうか、それとも過激派の兵站部分が細くなってしまっているのだろうかなどと、その理由を推測しつつ、専門家として各種情報収集と分析を続けた。
今回、イスラム過激派は、ユドヨノ大統領の再選が決まった直後に有名な外資系ホテルをターゲットとした。報じられているようにJIによる犯行かどうかは不明だが、同国では多少間が空いても、依然としてこうしたテロが発生する可能性が高いということを明確に理解しておくことが危機管理の上で大切だ。TNT或いはC4という高性能爆薬を使った自爆テロの可能性が高いと報じられている。アセアン諸国の中で、インドネシアのように外国人を狙ったと見られる爆弾テロが周期的に発生している国はない。親日的なインドネシアである。対日感情も良好だ。同国に進出している多くの日系企業は、これまでの経験から、今回の同時多発爆弾テロで慌てることはないだろうが、周期的にこうした事件が発生することをキチンと理解して、怠ることなく一定の危機管理対策を講じておくことが何より肝要である。小職の見立てだが、残念ながら、今後も一定の周期で同様のテロが同国で発生する可能性は極めて高い。

PKOに積極的参加を 
2009.05.25 Mon 15:45
平成21年5月25日
〜日本警察のPKOへの積極的参加を!〜
5月25日の報道によると、「アフリカ連合(AU)」が創設を目指す平和維持軍の上級幹部育成を図る講習会に日本の陸上自衛隊から将官(陸将補)を派遣するとの由。結構なことだ。今後も積極的に取り組むべきである。1992年から93年のカンボジアPKOでUNTACに参加して以降、自衛隊は特措法での参加も含めて、機会ある度に参加を繰り返してきた。92年当時、日本はPKOに関しては全くの初心者マークだったが、現在では初級クラスをようやく卒業し、中級へと進級できる程度になっているのではないかと思われる。
小職は92年のカンボジアPKOに参加した経験から、その後の日本のPKO活動を注視している。自衛隊の派遣はその都度検討されるが、警察官の派遣(いわゆる国連文民警察官の派遣)については、殆ど報じられない。これには、PKO経験者として不満と言わざるを得ない。実は、紛争国の治安維持には、各国が派遣している警察部隊の活動が大きく貢献しているのだが、意外と報じられていない。アフガニスタンや東ティモールでも警察部隊の活動は、現地住民の安全確保に大きく寄与している。テロ勢力や反政府勢力との戦闘は軍が行う。他方、警察部隊は市民の間に個人単位で入り込み、共に生活し、治安情報の収集・分析、犯罪捜査、地域パトロール、現地警察の指導・育成、警備等を行う。軍のキャンプや拠点を生活ベースとする軍に比較すると警察官の危険性は高い。おまけに原則として小銃、けん銃等の武器を携行しない。いわゆる丸腰である。もともと警察官は、一部対テロ特殊部隊を除き、重武装で活動するものではない。こうした警察活動は、その国の市民の共感を時間と共に得ることができるのである。
日本警察は、カンボジアに続き東ティモールにも警察官を派遣したものの、その数は申し訳程度の数人であり、カンボジアで殉職者が出たこと、同様の事態が発生した場合の派遣責任、各種法令の未整備、適格な人材不足等を理由に積極的な派遣に躊躇しているようだ。経験を積まないから、当然後継者は育たない。カンボジアPKOを経験した約75人も、現在は50歳前後となり、あと10年もしないうちにその殆どが定年退職を迎える。小職のPKO仲間の多くは、その後、在外大使館、領事館、JICA等の業務に携わったが、PKOに参加した経験があったからこそ、世界に目を向けて活動することができるようになった。現在も数人のPKO経験者が世界で活躍している。
ある警察庁幹部(官僚)が、国際テロ情報の収集や、海外で活動できる警察部隊が必要だと言うので、積極的にPKOに参加させて、経験を積ませ、人材育成をすべきだと回答したところ、カンボジアPKOのような大量派遣はとても無理だとの由。「戦ったことがない軍隊ほど弱いものはない」という言葉があるが、他国の諜報機関に本気で対抗する気があるのなら、ハイリスクを避けては通れないのが世界の常識だ。グローバルとなった世界だからこそ、英断しなければならない時なのだが。そんな思いで、早16年以上が経過した。

新型インフルエンザ対策 
2009.05.06 Wed 19:02
平成21年5月6日
〜無知では困る〜
新型インフルエンザの情報にも臆することなく、GWには多くの日本人が海外へ出かけた。そして、帰国ラッシュの映像がいつも通りに繰り返しテレビで流されている。潜伏期間の状態で、水際で発見されることなく、帰国する人たちがいないことを祈るばかりだ。
小職は5〜6年前から強毒性の鳥インフルエンザが世界的流行になる可能性があることを危惧していた。このため、ある企業の危機管理を担当している際、厚生労働省にタミフルの備蓄が民間として可能かどうかを尋ねたりもした。同省の担当者は、丁寧に説明してくれた。
今回の新型インフルエンザは、危惧していたそれではなく、豚インフルエンザで、現在のところ、これまでに把握されているインフルエンザと同レベル程度のようで(まだ確定的ではないが)、多くの死者が各国で出るような事態の可能性は低いものと見られている。
この種危機で大切なことは、正確な情報に基づき、冷静・沈着に行動することだ。テロなどと違って相手が見えず、怒りの矛先となる対象がいない。変異を重ねるウィルスに向かって怒っても仕方がないのである。
小職が危惧するのは、今の日本人の多くが、果たして正確な情報を見極めて、的確に行動することができるのかどうかということである。無知・無謀によるウィルスのばら撒きによって、感染が急速に拡大することだけは避けたい。それでなくとも日本人の基礎体力や免疫力は、欧米をはじめとする諸外国人のそれに比較すると、脆弱ではないかと小職は思っている(最近の環境や食生活が知らぬ間に影響しているように思われる)。
深刻な状況に陥った場合は、「不要不急の外出を控える」ことを個々が自覚して、自制しなければならないが、果たして言うは易しいが、実行できるのかどうか。安全と水はタダだと未だ思っている人が多いようだし、まして行動の自由を制限されるなんてまっぴらだと思っている人が多いのではないだろうか。今回の事態が一時的に終息しても、再度発生する可能性があることを専門家は指摘している。空気の乾燥が始まる冬場が悩ましい。
感染した疑いがある場合は、せめて他人にうつさないよう最善の行動をとるよう心掛けたいものだ。マスクもせずに、公共交通機関を利用して、いきなり掛かり付けの病院の待合室で順番を待つような愚行だけはしないでいただきたい。清潔好きで、節度ある日本人の行動が、新型インフルエンザ対策の模範として世界に紹介されるようであれば良いのだが。

治安情勢の見方 
2009.04.26 Sun 17:13
平成21年4月26日
〜学習中のタイ〜
4月24日、タイ王国の商務大臣来日に伴う昼食会に招かれ快く出席した。クーデター以降、政情が中々安定せず、同国パタヤで開催されたASEAN会議も急遽デモ隊の乱入で中止となり、タイのメンツは再度失われた格好となった。バンコクのスワナブーム国際空港が一時占拠された事件に引き続く事態だ。商務大臣の来日もこうした事態で海外からの投資が冷え込むことを危惧してのものである。
小職は4月13日にバンコクに入り、バンコク都内の状況を視察し、18日に帰国した。
タイの正月であるソククラーン祭(水かけ祭り)の真最中で、多くの都民は帰省していたことと、非常事態宣言が出されていたこともあってか、都内は例年のこの時期に比較すると人出は少なかった。しかしながら、都内の住宅地の露地では、水かけが活発に行われ、大渋滞であった。庶民にとっては、非常事態宣言などどこ吹く風だ。
こうした庶民の動きこそが「タイの底力」だと小職は常々思っている。1997年の金融危機の際もそうであった。タイを離れる日系企業や在留邦人が見られたが、同国の経済は予想より早く持ち直した。
タイの政情は、しばらくはこうした状態で推移するものと思われるが、タイを良く知る日系企業や在留邦人の多くは、この程度の事態で国外脱出、撤退等を考えてはいないはずだ。従って、これからタイに進出しようかと考えている企業や観光旅行を考えている日本人の方々は、日本で報じられている映像が極めて限られた場所でのものだということを理解しなければならない。タイに限らず、どの国の場合も同様だ。治安情勢を把握する上で大切なことだ。
昼食会の後、タイのテレビ局、ラジオ局のインタビューを受けた。小職が「この程度の事態は何ら問題がない」「他国でもあること」と答えたらびっくりしていた。ただ、「ナーシア(顔が潰れた)ね」と言ったら、苦笑していた。何故なら、タイ人はメンツを重んじる国だからだ。国民同士でメンツを潰すようなことを繰り返していれば、いずれツケは自分たちに回ってくる。そのことを今タイ国民は学習しているのである。その学習効果に期待したいが、喉元過ぎて「マイペンライ」だけでは困るのだが。

痛快、WBC二連覇 
2009.03.25 Wed 15:03
平成21年3月25日
〜自然体の「愛国心」をありがとう〜
小職は「巨人、大鵬、卵焼き」の世代だから、小学生当時から野球が好きだった。
しかし、社会人になってからは、日本国内のペナントレースが何故か面白く感じなくなったので、すっかり野球を見なくなってしまった。それでも、WBCだけは国対国の試合ということで、日本代表を密かに応援していたが、昨日、宿敵韓国を撃破して優勝した。
2連覇である。昨年は北京五輪で日本選手の活躍にやはり感動した。極限で戦うスポーツの美しさゆえに心から感動するのである。
さらに、「日本の代表」「日の丸を背負っての戦い」だから、日本国民として自然に興奮し、応援するのである。小職は、スポーツ・カフェ、大型電気販売店、街頭テレビの周りに人だかり(気持ちがひとつになっている)ができている光景を久しぶりに見た。日本人としての自然の「愛国心」の現れなのだと感じた。まだまだ、日本人の多くは自然に「愛国心」を胸に秘めているようだ。野球やサッカー、五輪等のスポーツでは、こうした光景が見られるが、政治、経済、教育などの面でもこうした自然の「愛国心」をほんの少しでいいから見せてもらいたいものだと期待している。
100年に1度の金融危機と言われ、閉塞感が日本どころか世界を覆っている。経済の専門家や学者に「実体経済にこれほどの影響が出るとは云々」と言われても、小職のような一庶民にはピンとこない。辛く苦しくても、我慢して、夢と希望を持って、軸がブレることなく、日本国民の一員として黙々と努力することだけだと自分に言い聞かせ日々を生き抜く以外にどんな方法があるというのか。メディアやネットから垂れ流される情報に右往左往するようなことがあってはならないはずだ。辛い時は「じっと我慢して耐え続け、好機を待つ」、そしてピンチをチャンスにしていかなければならない。
イチロー選手が、勝利のインタビューで谷、谷の連続だったが、最後に山に登ることができた、神が降りてきたと述べた。中島選手は日本の国民のために戦ったと述べた。彼らは、戦後教育の中で特別な「愛国心」教育など受けてはいない。一庶民である小職には想像もできないようなプレッシャーの中で、苦しみ、折れそうになる自分をひたすら叱咤激励して、奮い立たせ立ち向かうからこそ、その感動が伝わってくるのである。
ドジャーススタジアムに特大の「日の丸」が用意され、全選手がこれを持ってスタジアム内を一周した。誰が用意した日の丸かは知らないが、日頃「日の丸」「君が代」に強い異議を唱えている日本人の方々は、あの「日の丸」をどのように見ていたのだろうか。まさか、小職のように「ヤッター」「さすが」と直に叫んで喜び、スタジアム一周のシーンに感動していたのではないでしょうね。

インテリジェンスを身に付けて 
2009.03.09 Mon 15:44
平成21年3月9日
〜無知の恥ずかしさ〜
昨年10月、「ポルフィリン症」のため黒い頭巾を被って太陽光を避けていた少年に職務質問した警察官が、「お前はタリバンか」と発言していたことが報じられた。警察のOBである小職としては、何とも情けなく残念な話である。職務質問した警察官の所属・階級は、知らないが、恐らく地域課の制服警察官だろう。
小職が警察を退いてからから今月末で10年が経過する。9.11米同時多発テロが発生する2年前だったが、その頃、都道府県警の地域課の制服警察官で「アルカイダ」「タリバン」等を知っていた警察官は皆無であったはずだ。10年一昔と言われるが、今や末端の警察官までイスラム過激派についての教養が徹底されている。それは良いことなのだが、詳細まで教養していないから触りだけしか知らない。
小職も在外勤務をする前は、イスラム過激派などはどこか遠い国での話だと高をくくっていた。99年に警視庁を退職する際、これからの日本治安に大きく影響を及ぼす勢力は、イスラム過激派だと言ったら、大抵の警察幹部は一笑に付した。それから暫くして、ある公安部幹部から「お前の予想が当たったな」と言われた。9.11の発生だった。以後、ひょんなことからアフガニスタン復興支援、イラク復興支援等に関わった。未熟ながら情報を収集・分析しながら現在に至っている。現地へ入り、それなりの経験も積んだ。まだまだ分からないことも多い。
現地に入れば分かることだが、黒頭巾を被った「タリバン」なんて居ない。厳格なイスラムの戒律を遵守しようとする「タリバン」は、女性にはブルカで体を被わせるものの、戦士である彼らはそんなことはしない。
だから、少年に職務質問した警察官は、そんなことを全く知らないのである。日本の警察官の多くは、テロを敢行している「アルカイダ」「タリバン」「イスラム過激派」等は、日本に被害をもたらす可能性が高い国際テロ組織だから、あらゆる機会を通じて関連情報を収集しなさいと教養されている。個人的に勉強する警察官は別だが、その数は少ない。
無知から下手を打つと、恥となる。イスラム過激派を取り締まらなければならない警察官の知識がその程度では、とても機微な情報など収集できようはずがないのである。世界規模で犯罪が動く21世紀、振り込め詐欺だって海外発が見られている。
OBとして、全国の警察官に期待しているが故の苦言である。


ピンチはチャンス 
2009.03.04 Wed 12:52
平成21年3月4日
〜行動を示すチャンスなのだが〜
北朝鮮が「人工衛星?」の打ち上げを予定しているそうだ。これまでにも発射しているし、核実験もしている国だから驚く話ではない。
ただ、日本も遅まきながら過去の事例から学習し、ミサイル迎撃システムを充実させてきているようだから、日本に落下するなどというような事態が発生すれば、迎撃するとの総理や防衛相の発言が報じられた。米軍の司令官も大統領の決断があれば、迎撃するという。
至極当たり前の自国防衛対応策だが、問題は本当に日本に影響が及ぶような事態に迎撃命令が迅速に下され、日米がハワイ沖で訓練したようにできるのかということである。
「迎撃」という文字を流すことは外交の手段であることは言うまでもない。しかし、相手は北朝鮮であり、その程度のことで躊躇するはずはない。だから、淡々と発射するに違いない。太平洋側に落下するような場合は、迎撃しないのだろうが、日本の領海に落下して日本船舶に被害が出るようなケースまで細かく把握することは恐らく不可能だ。国民や国土を確実に防衛するということであれば、日本国の領海に落下するような物騒な落下物は、「人工衛星」だろうと何だろうと、打ち払うのは主権国家として当然であり、そうした措置を他国がとやかく言うことは内政干渉だろう。
3月中旬ころの発射の可能性が最も高いと見られているようだが、小職は、今回は発射行為より、発射に伴う日本の採る行動に注目している。報じられているように、過去の発射の時より具体的でスマートな行動を見せることができれば、少なくとも外交、安全保障に関しては、麻生総理の支持率がグッと上がる絶好のチャンスになる。ピンチはチャンスである。毅然たる「行動」を望みたい。

大変なストレス 
2009.02.05 Thu 15:46
平成21年2月5日
〜オペレーターのストレス〜
先月末に大手クレジットカード会社で電話オペレーターをしている社員から興味深い話を聞くことができた。いまや世界中で多くの人々に使用されている各種クレジットカード、様々な犯罪も日々頻発しているのはご存じのとおりだ。
その社員は、日々カード所有者からの問い合わせや要望、クレーム等を受けているが、英語ができるということから、外国人のカード保有者を対象としているそうだ。サービス業だし、あくまでお客様への対応だから、丁重に応対する。社内には数段階にもおよぶ対応マニュアルがあるという。眼前のパソコン画面に映し出したお客様のデータを見ながら、お客様と会話をしていくのだが、とても常識では考えられない嘘や要望、クレーム等が多いという。
そうした内容を平気で電話してくる顧客を国籍別に見ると、最も多いのは中国(突出しているそうだ)、続いて韓国、以下東南アジア諸国、欧米なのだそうだ。中国の人口が多いのだから当然そうした結果になるのだろうが、必ずといっていいほど、「日本は中国人を差別している」「中国ではOKだ」等とオペレーターの説明には耳を貸さず、騒ぎ立てるという。
どんな内容かというと、「利用限度額を上げろ」「キャッシング限度額を上げろ」「なぜ現在使用できないのか」等が最も多いそうだ。確認すると、9か月も未払い状態でカード使用が停止している、過去の未払い等が原因で限度額アップは規定上出来ない、現在購入しようとしている品物は極めて高額であり使用限度額を大幅に超えている等であるから、丁重に理由を説明する。すると説明も聞かずに前述の言葉が出てくるのである。
さらに、住所、電話番号、旅券、身分証明書等について尋ねると、「持っていない」「言えない」との回答だという。最後にオペレーターは、「こちらは日本でございますので出来かねます」と言い渡すそうだが、いやはや毎日大変なストレスだという。こうしたことが中国の旧正月時期は、毎年大変な数に上るそうだ。
自分の不始末は棚に上げて、要求だけは押し通そうとする。お国柄と言ってしまえばそれまでだが、外交でもせめてカード会社オペレーターのように場合によっては「こちらは日本ですので出来ません」と毅然と言い渡してもらいたいものだ。外交となると無理なのはどうしてだろう。会社の損失を防ぐためにオペレーターは頑張っている。日本の国益を損なわないようにと国会議員、外務省をはじめとする官僚が、オペレーター同様いやそれ以上に頑張っているとはとても思えないような報道ばかりである。
上辺だけの捜査協力 
2009.01.26 Mon 15:58
平成21年1月26日
〜捜査協力と言われてもネェ〜
毒入りギョーザ事件については、本ブログでも書いたが、中国内で動きが見られた。
容疑者を拘束して取調中、回収されたギョーザを地元政府が斡旋して企業に購入させて住民に被害が出た等々だ。日本警察には詳細な関連情報はもたらされていないという。日本警察からは警察庁次長が直接足を運び中国当局と協議したはずだ。
製造されたギョーザに日本国内で毒物が混入された可能性が99%ないことは当初から明らかだ。世の中に絶対はないから、99%ないということは間違いないということだと小職は理解している。
また、今後、中国側から本件に関する明解な捜査結果がもたらされる可能性も99%ないものと思っている。だから、本件について日本に対する謝罪なども当然ない。日本警察の幹部もそう思っているのではないか。そう思いつつ、表面上は「相互に捜査協力」と言っているはずだ。自国に不利なことや責任が及ぶようなことを易々と認めるような国ではないし、ましてや本件は相手が日本である。日本が満足するようなことを中国の役人がするわけはない。
回収したギョーザを役人が斡旋して企業に購入させて再度食べさせるなどということは、日本では考えられないことだし、そんな事案が日本で発生したら、メディアは大騒ぎで報じ、主管大臣はもとより、政権責任まで厳しく追及されるだろう。
中国では今回のことがどれほど報じられているだろうか。中国国民のどれだけの人が今回のことを知っているのだろう。都合の悪い情報は厳しく規制され、人権は抑圧されるのが当たり前の国柄だ。
日本人の多くは、北京五輪前のチベット弾圧のことはとっくに忘れ、最近ではオバマ新大統領にその興味は移ったようだ。中国当局が軍・警察を大量動員してチベット僧侶らをあっという間に発見・拘束したように、ギョーザに毒物を混入した犯人をも同様に検挙してもらいたいものだが、望むべくもないことか。
年末の雑感 
2008.12.28 Sun 15:18
平成20年12月28日
〜年末の雑感〜
今年も残すところ3日、50歳を越えてからの1年は、「光陰矢の如し」の感だ。
100年に1度と言われている米国発の金融危機で景気が大幅に低迷し、契約社員、派遣社員等は問答無用の解雇通告で悲鳴を上げている。実は円高で相当儲かっている企業がたくさんあるのに、それは全く報じられない。メディアはそんな景気のいい話はあまり面白くないので報じないのか。
来年は総選挙の年だから、日本の政情がどう変化するのか見ものである。年明けの1月にはオバマ新大統領の宣誓式もあり、イラク、アフガニスタンの米軍はどうなっていくのか。ソマリア沖の海賊対策に海上警備行動で海上自衛隊の護衛艦を出すとの由だが、果たして上手くいくのか。色々と日本の治安に関係することにどうしても目が向いてしまう。
個人的には、本年は海外での危機管理コンサルティング活動ができなかったから、来年は是非、治安情勢の悪い国々へ行って危機管理コンサルティングを実施したいと願っている。現場を見ることが何より大切だから。

ところで、海外へ仕事に行くと、どうしても英語で喋る機会が増える。どういうわけか国連の公用語も英語と仏語である(戦勝国が組織した機関だから当然そうなった)。
日本の高校では、来年から英語の授業時間は教諭が英語のみで授業をするとか。小職は全くもって必要のないことと思っている。識者の一部も、まず国語が何より大切で、それなくしての英語など何の意味もないことと指摘している。同感だ。
小職が最初に英語の必要性に迫られたのは、カンボジアPKOに参加した時で、34歳の時だ。兎に角、喋らないと相手にされない。辞書を開く日々が続いた。自分の英語力のなさを痛感した。しかし、徐々に喋れるようになったし、少しだが自信がついてきた。それから、日本大使館で勤務したことも幸いした。その後、JICAの仕事等で約40か国を訪問したが、最初の苦労の甲斐あってか、何とか英語を喋って仕事を続けている。途上国では、日本の歴史や文化、伝統等について必ず質問される。難しい質問も多い。「何故戦争したのか?」「敗戦したのに高度に発展した理由は?」「天皇陛下の歴史は?」等々、日本語で答えるのも難しい。それでも小職は拙い英語を駆使して喋るようにしている。
日本の歴史、伝統、文化等の勉強を疎かにしている日本人が、どんなに上手な英語を喋ろうと尊敬されない。世界の常識だ。英語の授業時間に教諭が英語のみを喋るなんてことより、もっと学ぶべき大切なものがあるだろうに。情けない話である。
対馬の問題 
2008.11.22 Sat 15:57
平成20年11月22日
〜既に行っているはずでは?〜
長崎県の対馬が韓国企業に買い占められているとして、産経新聞が警鐘を鳴らした。
早速、国会議員の方々が日本の安全保障上の観点から現地を視察し、諸対策を講じようとしている。結構なことだ。
ところで、この記事が連載される前から対馬の現状は色々な形で報じられていたので、当然小職は、水面下で日本警察の警備・公安部門が緻密な捜査を行っているものと今でも信じている。名義貸しをする日本人や企業は誰か、資金の流れはどうか、背後関係はどうなっているのか等々、各種の情報を収集して、少しでも違法性が認められるようであれば、事件化して国家の安全を維持することが、警備・公安の職務であるからだ。
断片情報が報じられた段階で、或いはそれ以前から、黙々とそうした捜査を行い、広く報じられる段階では、ある程度の実態が解明されていなければならない。
今回は果たしてどうだったのか、知る由もないが、もし、今回の報道まで警察当局が全く手を打っていなかったのであれば、大いに反省し、全力を挙げて実態解明を急がなければならない。ここはひとつその筋の専門家の腕の見せ所であろう。
諸外国では、外国人が土地を購入できない国が多い。先進国に買い占められては、国の根幹にかかわるからだ。日本はそうした危機感が極めて薄い。目先のマネーゲームに走る最近の日本の風潮が一部影響しているようだが、取り返しのつかないような状態になる前に迅速で効果的な措置を講じなければならない。今回の対馬の問題は、警察当局が主導していくべき問題だと考えているのだが、果たしてどのような結果となるのか。この種情報の収集・分析を専門とする警備・公安の力量が問われている。
当たり前のことなのに 
2008.10.29 Wed 15:55
平成20年10月29日
〜日本の将来・推して知るべし〜
○財務大臣の記者会見場に日の丸を掲示していた事に対して、「一方的ではないか」「国民の中には違和感を持つ人がいる」と質問し抗議した記者がいる。
○天皇陛下ご臨席の認証式においてただ一人着席したままの記者がいる。
○警察官の子供だと言うことで長時間立たせた先生がいる。
○小学校の放送部員が「世界のマーチ」をテーマに放送した際、日の丸行進曲を流したところ、放送中に「軍国主義に連なるものは許さない」とレコードをたたき割った先生がいる。
○校内試験の際に採点には影響しないからと、政治的内容を提示し「両親の考えを聞いて記載するように」と申し向けた先生がいる。
○入学式や卒業式の際に、「日の丸の掲示」や「君が代斉唱」を否定するよう生徒や先生に強要する先生がいる。
○児童に対し人形を用いて性教育を実施する先生がいる。
○体育の授業のための着替えを男女同じ教室でするよう指導する先生がいる。
○教育熱心な校長先生に団結してその方針に反対し、死に至らしめた先生の集団がある。

以上、列記した内容は、日本国内であった事実である。
これまで仕事で多くの国を訪問したが、その国の国旗、国歌に敬意を払わない国民を見たことがない。心ある多くの日本人は、「日の丸」「君が代」「桜」を愛する。そうでない輩を爾来「国賊」と言う。
最近、そうでない輩が増えているような気がするのは小職だけだろうか。

本気の外交交渉を 
2008.10.28 Tue 14:43
平成20年10月28日
〜本気で臨んでいるのかな?外交交渉〜
本年8月、アフガニスタンでNPO活動をしていた伊藤さんが殺害され、その後、10月20日にはNGO活動をしていた英国人女性が、10月26日には国際物流会社DHLの英国人、南アフリカ人が連続して殺害された。アフガンでは最早特に驚くほどの事件ではないのか、日本での報道振りは小さかった。その後、伊藤さんを殺害した主犯に関する報道はないが、日本外務省や現地の日本大使館は自国民が殺害された事件の捜査を現地当局にどのように強く依頼しているのだろうか。
何故こんなことを書くのかというと、昨年の9月にミャンマーで殺害されたカメラマン長井健司さんのその後の捜査に関する進捗状況が外務省から聞こえてこないからである。長井さんは小職の友人であったことから、小職としてはせめて事件の背景や発砲した犯人の氏名(第66軽歩兵師団所属の兵士までは突き止めている)だけでも特定できないものかと今でも細々と情報収集を続けている。
小職がカンボジアPKOにUNTACの文民警察官として従事した際には、国連ボランティアの中田さんと岡山県警の高田さんが殺害されたが、犯人は未だ検挙されていない。イラクで日本外務省の奥さん、井上さんを殺害した犯人も不明のままだ。
要するに、日本人が紛争地で殺害された場合、まず犯人の特定すらできないまま忘れ去られていくということなのだが、問題は日本外務省がどのような手法で事件が発生した各国に事件解決のために粘り強く働きかけているのかということだ。
米英仏独等の各国のそれは、実にアグレッシブだ。時には恫喝すら平気で行うし、大量の捜査員を送り込み独自に捜査を行ったりする。そうしたことを日本も全て真似しろとは言わないが、殆ど何もしていないのではないかと思われるような印象を日本国民に抱かれている実情を外務省職員はどう思っているのだろうか。イラクで身内がテロ組織によって殺害された事件ですら事件解決の糸口すら見えてこないのだから、他の事件については推して知るべしというところか。
外交というと一見華やかに見えるが、実際はドロドロとした狐と狸の騙しあいである。最近では、IT技術が発達し、事件現場の様子が色々な形で録画・録音され、それがネットを通じて瞬く間に伝えられる。そうした材料を武器に被害を受けた国の外交官は時機を逸することなくアグレッシブに交渉をするのである。そうした志を抱く日本人外交官はいないのだろうか。犯人が組織的な「アルカイダ」「タリバン」等のテロリストとなればなおさらだろう。外務省ではとてもできないというのなら、外交の一本化などと省益にのみ走ることなく、日本警察に全権委任してはどうか。もっともテロと本気で戦おうと思っているのならの話だが。

年間行事の盆踊りも結構だが 
2008.09.21 Sun 14:19
平成20年9月21日
〜日本人外交官の呑気度〜
9月19日付の「産経新聞」に岡本行夫氏が寄稿されたアフガンから逃げるなという論文が大きく掲載された。小職も全く同じ見解である。アフガンは今やテロ戦争の主戦場であり、隣国パキスタンがこれに複雑に関係していることはテロ情勢に関係する人の間では常識だ。
9月20日夜、そのパキスタンの首都イスラマバードにある米系ホテル「マリオットホテル」で自爆テロが発生し、少なくとも50人以上が死亡したと報じられた。小職もこのホテルには何度も宿泊した。アフガンへ空路で入る際、どうしてもイスラマバードに宿泊しなければならないためだ。100米ドル以上するホテルだけに中々立派なホテルだ。道路に面した正面出入口ゲート付近には複数の警備員が配置され、9.11以降、特に厳重な警備が実施されていた。報道によれば、1トン以上と見られる爆弾を積んだ大型トラックが、警備員の制止を振り切って突入し、自爆した。パキスタン史上、最も大きいテロとも報じられている。ホテル敷地内に駐車していた車両の破壊されている程度、建物に爆発後燃え移っている様子等が写されている現場写真からも爆発の威力が大きいことが推測される。幸い、日本人の被害はないとの情報だ。
報道の中で気になったことがある。事件発生の夜、在イスラマバード日本国大使館では、盆踊りが催されていたという。何とも呑気な話ではないか。隣国の在アフガニスタン日本国大使館ならさすがにそんな呑気な行事は開催しないだろう。外務省が日々発出する海外安全情報を見ていると、アフガンの日本大使館は、自爆テロが敢行される可能性が高いとの比較的具体的な情報を頻繁に発出している。これに比較するとイスラマバードの日本大使館はどうだろう。テロ情報の収集・分析に全力を挙げているのだろうかと言いたくなる。「アルカイダ」をはじめとするイスラム過激派は、日本を米英に次ぐターゲットとしている。ましてやアフガンで日本人NGOがターゲットにされ殺害されたばかりだ。盆踊りが開催されているイスラマバードの日本大使館に自爆テロの大型トラックがその機会を狙って突入していたら、多くの在留邦人が死傷するのはもちろん、一体この時期に何をしていたのかとの批判を浴びるはずだ。
具体的なテロ情報をあらゆる角度から入手することは中々困難な作業ではあるが、果たして日本人外交官が必死になってそうした活動を日々行っているのかどうか、この時期の在イスラマバード日本国大使館での盆踊り開催が事実なら、疑問に思わざるを得ない。
それとも、今回の自爆テロ情報を事前に入手していたから、密かに自国民保護のため、在留邦人を日本大使館に集めて盆踊りを開催していたのか。
「自国民保護」 
2008.09.10 Wed 15:37
平成20年9月10日
〜いつもと同じ手口のロシア〜
日本人が北京五輪に夢中になっている時、ロシアがグルジアに侵攻した。
「自国民保護」がロシアの言い分で、南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認した。今年の10大ニュースの上位に位置する大事件である。小職は海外出張中にこの事件をBBCで見た。
まず直観的に感じたことは「ロシアの手口は今も昔も変わらないな」ということである。
旧ソ連時代、何回同じ手口で他国に武力侵攻して自国の支配下に置き、実質支配したことか。気の毒なのは、グルジアと独立を承認された自治州、自治共和国の市民だ。自分たちの生活が本当に良くなるのか悪くなるのか、平和な日々が送れるのかどうか等々、心配なことだろう。侵攻したロシア軍が残虐な行為を行ったとの情報が伝えられている。こうした情報が本当であれば(旧ソ連の歴史を少しでも研究している人なら、間違いなくやっていると確信するのではないか)、この手口も昔と何も変わっていない。
ようやく最近になって、日本の一部の新聞、テレビ等が「何故このような重要な事件に対して日本政府として意見を主張しないのか」と報じ始めた。当然だ。日本固有の領土である北方領土もこうして盗られたまま、今に至っている。ロシアという国が強くなればなるほど、この国はこうしたことを繰り返すことだろう。そういうお国柄であるということだけは日本人は知っておくべきだ。
ところで、ロシアが今回の言い分で主張した「自国民保護」、聞こえの良い言葉だが、米英をはじめとする強国はこれを良く使って他国へ兵を送る。それが良い悪いかはケースバイケースで色々な議論があり、識者の判断に任せたい。
小職がふと思ったことは、日本は「自国民保護」を大義名分としてどれだけのことを今できるのだろうかということである。湾岸戦争の際のクウェート、カンボジアPKOでの国連ボランティア、文民警察官殺害、ペルーの日本大使公邸占拠事件、イラク戦争開始後の日本人外交官、日本人カメラマン等の殺害事件等々は記憶に新しい。
その時日本はどのようにして「自国民保護」をしたのか。答えはみなさんご存じのとおりである。日本の外交官などそんな時はほとんど役に立たなかった。迅速に「自国民保護」ができないような国は、世界では笑い者だ。表では笑わないが、裏では笑っている。憲法、法律等の改正が必要というなら、そうすればよい。「自国民保護」は多くの国が単純に理解できる大義名分だから。
海外での安全対策の難しさ 
2008.08.28 Thu 15:59
平成20年8月28日
〜基本的な海外での安全対策を官民で〜
アフガニスタン東部のジャララバード近郊で、日本のNGO(非政府組織)「ペシャワール会」ボランティアの伊藤和也さんが殺害された。大変残念な結果で言葉を失う。
小職は国際協力機構(JICA)がアフガン復興支援のために首都カブールに事務所を開設する時期から同国で活動する日本人の安全諸対策に関わった。9.11米同時多発テロ以降、米軍が空爆を開始し、タリバンを駆逐した直後だ。
タリバン政権が駆逐され、当時、多くの国民には安堵の色が窺え、行く先々での笑顔が印象的だった。しかし、一時的に安定した治安はイラク戦争が開始された頃から変化を見せ始め、昨年あたりからは著しく悪化した。タリバン志願兵がパキスタンをはじめとする他国から越境し、兵力は増強した。芥子栽培は衰えることなく彼らの資金源となった。
タリバンは米英軍、国際治安部隊等をターゲットとしていたが、全ての外国人関係者へとそれは広がっていった。攻撃の手口・規模もイラクのそれと同じようになった。小職ら専門家の間では、もはやイラクの治安情勢と何ら変わらないレベルに達しているとの意見が大勢を占めた。それでもアフガン復興支援は継続すべきであるとの意見で一致した。
ならば、どのようにして自分の身を守るのかということになる。具体的な安全対策措置を講じなければならない。
テロ・ゲリラ情報の収集・分析、一般犯罪情報の収集・分析、武装警備要員の雇用と運用、移動時の武装警備実施、通信機器の配備と報告・連絡、専門家の定期的な巡回と教養・指導、事務所、拠点、自宅等の警備と安全確認等々、紛争地における基本的な安全対策の一例である。伊藤さんが所属していた「ペシャワール会」は現地での豊富な活動実績を有する。小職が同国に入った際も同会の活動は高く評価されていたが、同会の中村哲さんでさえ、今回の事件に関し現地治安情勢に関する認識が甘かったとインタビューに答えられていた。
こうした安全対策には一定の資金が必要だ。決して安価ではない。こりのため殆どのNGOが分かってはいるが実行できないでいるのが実情だろう。日本大使館や国際協力機構は、国家予算で一定のレベルを常に維持しているが、民間ではそうはいかない。約150人の日本人がアフガンで色々な形で復興支援に従事しているという。日本政府は引き続き今回の悲しみを乗り越えて復興支援を実施していくという。そうであるならば、政府が主導した安全対策措置組織を早急に組織して、世界各地で活躍する日本人の安全確保に完璧は無理としても、まずは最低限レベルの安全対策を提供してはどうか。まずは、50人程度の専門家で組織すれば、十分稼働できる。アフガンに止まらず、いずれイラク、スーダン等にも日本人が入っていくことは間違いない。
小職はカンボジアPKOに参加して以降、ずっとこの考えを抱き続けている。政府がやらないので、現在も「民」として諦めることなく実現すべく取り組んでいる。伊藤さんの死を無駄にしないためにも。
海外の北京五輪報道例 
2008.08.27 Wed 16:16
平成20年8月27日
〜海外で見た北京五輪〜
仕事の都合で北京五輪を海外(東南アジア)で見ることとなった。海外駐在・出張経験が比較的多いのだが、初めての経験であった。スポーツ観戦は嫌いではないし、4年に1度の五輪だから、当然厳しい練習を続けてきた日本選手を応援したくなる。
現地のテレビでも北京五輪は大きく取り上げられて報じられていた。しかし、日本の五輪報道と比較すると、極めてシンプルである。各競技の模様が冷静に実況され、解説者も淡々と解説する。スポーツに無関係なタレント等は一切出てこない。北島選手の金メダル(世界新)にも「ずば抜けた泳法テクニックを持っている」と称賛していた。
小職はこうした報道に心地よさを感じずにはいられなかった。スポーツ報道とはこういうもので十分だ。スポーツの歴史、ルール、厳しさ等など全く知らないとまでは言わないが、およそ普段は無関係なタレント等が興奮絶叫を繰り返し、選手の控え室やプライベートにまで接近してカメラ撮影して報道する必要がどこにあるのだろう。
海外のテレビで淡々と報じられた日本選手の活躍は十分見ることができたし、感動することもできた。作家の渡辺淳一さんが週刊新潮(8月28日号)の「あとの祭り」に次のように書かれている。
「このところ、テレビのスイッチをひねると、かならずスポーツの実況か、その結果の話題ばかり。北京オリンピックの最中だから、といわれたらそのとおりだが、いささかうんざり、というのが正直な感想である。」
日本ではいつ頃から今のような五輪報道スタイルになったのか覚えていないが、今回、海外のテレビで見たような報道を好む日本人も決して少なくないのではと思うのだが。
大使館のセキュリティ 
2008.07.17 Thu 16:08
平成20年7月17日
〜大使館勤務の難しさと面白さ〜
在ロシア日本国大使館に勤務する警備担当責任者(警備対策官)が現地採用の女性職員にセクハラをして訴えられたが、その事実はなかったとの記事が報じられた。日本外務省が調査をして正式に公表したのだから間違いはないのだろう。警備担当責任者は、日本の警察庁から出向していたという。小職も同じ身分で大使館に出向していたから事情は良く分かるつもりだ。
在瀋陽日本国総領事館の電信担当書記官が「国を売るわけにはいかない」として悩み続け自殺した事件があった。中国当局は当然何も関与していないと主張した。熾烈な情報争奪をする外交上では当然のことだ。
今回のロシアでの事案は、瀋陽のそれと同一の性格を有するものではないのかも知れないが、大使館勤務経験のある警察OBとしては少々残念に感じている。というのは、警備担当責任者は文字通り大使館、大使公邸等をはじめとする日本大使館全てのセキュリティを担当するプロとして勤務している。その国に緊急事態が発生した場合には、たとえ大使館職員およびその家族が出国、帰国しても、大使と警備担当責任者だけは、大使館に居残る。そんな業務だから、大使館で働く現地採用職員からも一目置かれるし、場合によっては恐れられることもある。
旧ソ連当時に日本大使館で勤務する現地採用職員は、殆どがKGBやGRUのスパイであると見られていた。当然のことだ。ロシアに変わってからもその本質は大して変わっていないはずである。今回の警備担当責任者がその辺を見極めるために敢行した調査活動がセクハラに置き換えられて反撃されたのであればそれでよい。次は別の手段で慎重に見極めればよいだけだ。
もし警備担当責任者にそんな目的も意識もなく、単純な言動が現地採用職員の不評を買い、セクハラをしたかのようなデマで攻撃されたのであれば、今一度ロシアの国家観と歴史観を肝に銘じるべきだ(そんな事実はなかったとのことだから、老婆心ながらの危惧である)。
かつて小職が大使館で勤務していた際、日本大使館主催のパーティで話しかけてきた米CIAの情報員は、小職の氏名は勿論、出向元の部署、担当業務まで知っていた。さらに、同人は他の警察からの出向者の部署まで小職に耳打ちしたこと等を今でも鮮明に記憶している。
ダメなものはダメ 
2008.06.21 Sat 17:10
平成20年6月21日
〜正義の味方のつもり?〜
環境保護団体「グリーンピース・ジャパン(GP)」のメンバーが窃盗並びに建造物侵入容疑で逮捕された。今回の逮捕について逮捕当日の6月20日にメディアからコメントを求められた。警察当局としては当然の対応であり、適法且つ妥当である。GP側は不当な逮捕であり、業務上横領罪を立証するために行った行為であるから罪にはならないと主張しているようだが、全くの詭弁である。
地球規模の環境保護が人類にとって大切な課題であることは多くの人間が理解している。
捕鯨についても日本だけが極端な異論を発し続け、行動しているわけではない。GPの主義・主張を展開する活動過程で、犯罪ではないかと思われる情報を得たのであれば、警察当局にそうした情報を迅速に提供して捜査結果を待てばよい。問題は、自らが正義の味方のヒーローかのように敢行した行為が違法行為であるにもかかわらず、さらにそれを堂々とメディアを通じて正当化したことである。日本の文化では、こうした行為は「恥」として扱われてきている。
メディアの一部には、「逮捕する必要はあったのか?」「証拠隠滅や逃走の虞はなかったのでは?」等と警察当局の捜査手法を疑問視する論調も見られるが、今回はどうやら分が悪いのではないか。GPの主張が通るほど世間は甘くないのである。小職は、今回の事件は組織的、計画的であると推理している。ひょっとすると外国の団体と連携しているかも知れない。とても31歳と41歳の2人だけで敢行した行為とは思えないのである。情報収集・分析と並行して捜査を進めることを得意とする公安警察の徹底した捜査に期待したい。
GPは必殺仕置き人にでもなったつもりだろうが、それはバーチャルの世界だけにしてもらいたいものだ。日本は世界に誇れる法治国家であることをお忘れか。
乗り越えてほしい壁 
2008.06.08 Sun 12:44
平成20年6月8日
〜日本警察の前にある壁〜
6月7日付「産経新聞」に『「8時間の決着」是非』のタイトルで、同月3日に埼玉県川越市で発生した立てこもり事件に関する評価が掲載された。この種の事件で必ず問われる内容だ。解決までの8時間は長すぎるのか、それとも適正なのかということである。
小職は警察のOBとして、且つ、危機管理コンサルタントとして、この種事件での警察の対応を色々な角度から分析する。それぞれの事件は状況が異なるので、前例と安易に比較することはできない。被疑者を可能な限り生存させた状態で検挙するという理想の形を追求するのが日本警察であり、他国の警察に比較すると、そのレベルはトップクラスであることは間違いない。
警察内部には被疑者を初期段階で狙撃して制圧するという意見がないわけではない。今回のケースでは、いつでも殺さずに狙撃して制圧することができた。当然、警察内部で徹底して議論されたはずだ。
小職が警部補だった昭和63年当時、米国研修でデトロイト市警SWATチームの講義を受ける機会があった。先方からも色々と質問を受けた。“どんなタイプの銃を使用しているのか、その理由は、予備の弾はどの程度か、その理由は、チームの数はどの程度か、その理由は”等々であった。当時は、警察官のけん銃に事故防止のため安全ゴムを装着していた時代である。自動小銃、ショットガン、狙撃ライフル等の武器で凶悪な武装被疑者を銃撃によって制圧・検挙することなどあくまで机上での話であった(SATは存在してはいたが)。だから真剣にそうした質問をしてくるデトロイトSWAT隊員に適切に答えようがなかったことを今でも覚えている。
「戦ったことがない軍隊ほど弱いものはない」という言葉があるが、これはそのまま警察にもあてはまる。これまで日本ではこの種事件の発生が少なかった。経験が極めて乏しいのだ。発砲命令には重い責任が伴う。合法且つ妥当でなければならない。小職はそうした壁を誰かが叡智と勇気を出して即断し乗り越えなければ、今後多発が予想されるこの種事件を迅速に解決することはできないと確信している。決して被疑者の人命を軽視するつもりはない。
しかし、市民の生命、身体を第一に守るのであれば、けん銃を乱射する被疑者と対峙した場合、人質が存在しないのであれば、直ちに体制を整えて狙撃し(射殺する必要はないしそうした技術も有しているはず)、制圧・検挙するべきだと考えている。極端な例かも知れないが、被疑者側がプロの場合、これまでの事例だけをベースに対応すると、警察側に多数の殉職者が出ることは間違いない。壁を突き破り新たなステップを踏み出すには勇気がいるし、保身が脳裏をかすめるのも理解できる。官僚の多くは、そんな経験はしたくないだろうが、誰かがその壁に立ち向かい、乗り越えなければならない。

エスカレーターの片側歩行 
2008.05.30 Fri 13:47
平成20年5月30日
〜奇妙な慣行は危険だった〜
評論家の呉智英氏が、本年5月9日に名古屋の地下鉄駅で発生したエスカレーターの逆行事故について、エスカレーターの片側歩行は危険だと指摘されていた。小職は以前、片側歩行の振動でエスカレーターが急停止するということを聞いたことがあるが、それほどのこともあるまいと、実は本日朝まで片側歩行を続けていた。
しかし、今回の事故と呉氏の指摘を真摯に受け止め、本日からエスカレーター利用時の片側歩行を止めた。
危機管理の観点から、エスカレーター製造会社は、片側歩行をしても急停止したり、逆行しないようなエスカレーターを開発してほしいし(そんなに急ぐ必要などないと呉氏からお叱りを受けそうだが)、他方、警察、消防等の当局は、積極的に広報してはどうか。片側歩行禁止の表示も全国で増やして啓蒙すべきだ。
同様の事故発生の確率が低そうなので、そのうち忘れられてしまい、忘れたころに呉氏が指摘されるように、朝夕ラッシュ時の長いエスカレーターで大惨事が起きてから騒いでも遅い。今や、エスカレーターはバリアフリーということもあり、いたる所に増設されつつある。定期的なメンテナンスもその現場を見ていると大変なようだ。小職はこの際、衰えつつある体力増強のために、可能な限り階段を利用しようかとも考えている。
現場急行のパトカーを取締る? 
2008.05.25 Sun 18:06
平成20年5月25日
〜広域化、スピード化する犯罪の捜査のために〜
警察のパトカー、捜査車両等は、事件・事故が発生すると緊急自動車として現場へ急行する。そうした車両がスピード違反で警察の取締りを受けているケースがあると報じられた。現行法では緊急自動車の最高速度が、一般道路は時速80km、高速道路は時速100kmと定められているからだが、その対策に警察内部でも足並みがそろわないという。「安全第一」を重視すべきとの慎重派、「迅速な犯人逮捕」を重視すべきとの積極派とに分かれているのだろう。今後警察内部で議論することは大切なことだが、警察OBとしての私見は次のとおり。
なぜ、今になってこのようなことが問題になってきたのかということである。道路交通法施行令が施行された昭和35年からこうしたことが(交通違反の切符が公務中の警察官に交付されるような事案)あったのか、それとも最近目立つようになったのかという点である。少なくとも小職が現職の当時(1980年〜1999年)にはあまり見られなかった。
最近目立つようになったというなら、その要因がどこにあるのか真剣に考えなければならない。都道府県警察の縄張り根性だけなら昔からあることである。例えば神奈川県警が警視庁をライバル視しているというような話は、小職が現職の頃から良く耳にした。そうではなく、各都道府県の警察官個々が、役人的発想、セクト主義等で大局を見ようともせず、公務中の警察車両を取り締るようになっているのであれば大問題である。
犯罪の広域化、スピード化が叫ばれて久しい。日本版FBI構想も大きな事件がある度に取り上げられている。警察OBの会合でしばしば話題になるのが「警察官のサラリーマン化」だ。今回のような報道が、そうした部分から噴出してきていないものと信じたい。
FC2ブログ
Copyright (C) 2008 GISI. All rights reserved.